2008年12月31日水曜日

有馬記念回顧 2008


有馬記念結果
ダイワスカーレット2.31.536.401-01-01-01
アドマイヤモナーク2.31.835.814-14-13-11
エアシェイディ2.31.936.408-08-05-07
ドリームジャーニー2.31.935.911-13-13-09
スクリーンヒーロー2.32.036.510-08-05-02
アルナスライン2.32.236.411-11-10-09

天候:晴 芝:良
上り4F:48.3 3F:36.4
6.9-11.2-11.9-11.2-11.9-13.0-13.2-12.4-11.5-11.9-12.0-11.7-12.7

レース評
ダイワスカーレットが抜けて強かった。
その一言に尽きる。

もう少し競りかけていくと思っていたアサクサキングスをスタートで完全に
置き去りにしたことで、一人旅状態ではあったが、かと言って終始楽が
出来たようなレースではなかった。
レースの序盤からカワカミプリンセスとメイショウサムソンに煽られ続け、
勝負所では多くの馬が勝ちに行くような競馬をした。
それらの馬を跳ね返して、結果的に総崩れにさせた勝利故に価値がある。

ラップタイムを見れば、前半は11秒台を刻み続けているようにある程度速く、
1~2コーナーだけは平均よりも少し緩んだが、その後の向こう正面の速さは
近年では稀にみるもので、2002年にタップダンスシチーのロングスパートで
同じようなラップとなったときでも、今年とは違って前半はゆったりとした
流れだった。

おそらく鞍上の考えは向こう正面で少し後ろを離しておいて、コーナーで
少し楽をさせようという思惑があったのだと思うが、実際この速さについて
いって、勝負所で勝ちに行った馬は4角で既に一杯になっている馬が多く、
この作戦は決まり過ぎるほど決まっている。

また馬のタイプで言えば、レースはラスト5Fから相当なスピードを維持して
流れたために、相当な持続力が問われるものとなり、早めに仕掛けた馬の中でも
特に切れ味の鋭いタイプの馬は揃って無残な結果に終わった。
フローテーション、マツリダゴッホ、アサクサキングスあたりがそれに当たる。

レースは結果的に仕掛けなかったもの勝ちで、後方から直線勝負で上位に
浮上した馬のレース内容には大して価値は無く、それよりも切れるタイプで
惨敗した馬の巻き返しの方が期待できる。

レースそのものの内容はこんな感じであるが、とにかく今回はダイワスカーレット
のビッグタイトル奪取という結果にほっとしている。
10年後、今現在を知っている競馬ファンとして、今の時代を知らない競馬ファンに
対して、こんな強い馬がいた、と言える証拠が揃った。
結局牝馬限定のG1しか勝ってないじゃないか、とつっこまれることはもうない。

世代的にシンボリルドルフやオグリキャップのことは語ることができないが、
サンデー産駒のクラシック初年度から競馬を見始めて、その全盛期の切れ味が
最重要な要素であった競馬のこと、そのクライマックスの主役であった3冠馬
ディープインパクトのこと、ダイワスカーレット&ウオッカが堂々主役を務めた
時代のことは語ることができる。
もうしばらく競馬は見続けていくのだろうが、自分の中での競馬の価値はたぶん
そういうことなんだと思う。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

ダイワスカーレット
中山大得意な馬や一気に主役級に登りつめた馬やラストランの馬などが
そう言えばいたなぁ…というくらい霞んで見えてしまうほど、完全に
1頭の競馬だった。
兄のダイワメジャーの全盛期のレースで見られたような、強すぎて後ろの馬が
次々に脱落していくという、レース映像に何だか違和感を感じる程の内容で、
これは持続力&持久力が極めて優れていなければできないこと。
この馬に期待することはもはや海外しかなく、ドバイWC、凱旋門賞、
ブリーダーズCのどれか1つでも獲って来て欲しい。
本気で狙って可能性が高そうなのは、AWコースのBC、流れは合いそうな
ドバイWCあたりだろう。

スクリーンヒーロー
前半なぜ好位につけなかったのか全く分からないが、序盤から無駄な動きが
多く、それがなければ2着は確保できたのではないかと思う。
実際に位置取りは後ろだったが、3~4コーナーではかなり動いてここまで
粘った内容は、ダイワに次いで高いパフォーマンスだった。
それ故に好位から進めて、あと1F仕掛けを遅らせることが出来れば、もう少し
違った結果が得られたように思えてしまう。
JCのスローペースの中での折り合いといい、ラストの持続力といい淀の
舞台は相当に合っていると考えられる。
不器用な馬と持続力のない馬ばかりが相手な訳で、春は堂々と主役を張れる。

アルナスライン
そもそも積極策はどうなったのか訳が分からないが、後方から進めておいて
先に仕掛けたスクリーンヒーローを差せなかったことで、少しこの馬の底が
見えてしまった感がある。
今回のレースと今までに出走したレースを見ると、大型馬の不器用さからか、
どうやらコーナー部分で加速していくことができないようで、どうしても
直線を向いてからという競馬になっている。
決して切れ味がない馬ではないのだが、コーナーを回りながらだと、
遠心力が強すぎて前に進む方向に力が働かないのだろう。
つまり東京、京都、阪神外回り、新潟外回り以外はほぼ用なしと考えていい。
ただ広い競馬場であっても他の馬より動き出すのが遅くなる分、勝ち切るのは
少し難しく、この先タイトル奪取のイメージがあまり湧かない。

カワカミプリンセス
積極的なレースをして、最後まで良く粘っている。
ただ向こう正面でのスピードアップについて行ける切れ味がなかったという
ことに尽きる。
やはりこの馬の持久力は相当なもので、どうしてもリトルアマポーラに
負ける馬とは思えない。
今後は現役続行でもスローになりがちな牝馬のレースでは持ち味が活きないし、
そろそろ引退でもいいとは思うが…。

フローテーション
勝負所での切れ味だけならナンバーワン争いをするほどの鋭さがあった。
それも完全な後方待機だった訳ではなく、ある程度好位から進めてのもので、
完全な中距離の厳しい流れの中で持ち味が発揮できたのは収穫だった。
長距離のゆったりした流れの中であれば、その切れ味がより活きるはずで、
持続力という課題はあるものの春はかなり楽しみな存在。
もう少し馬体に実が入ればもっと良くなる。

マツリダゴッホ
パドックを見る限り平凡すぎる印象は受けたが、スクリーンヒーローに所々
ジャマされたとはいえ、あんなに後方となったのは予想外だった。
切れ味が鋭いタイプで本来持続力がそれ程ある馬ではないだけに、その時点で
もはやレースの勝ち負けには無関係な存在となってしまった。
実際に3~4コーナーではかなりの切れ味を発揮して前に迫ってはいたが、
いつもより1F早い段階から脚を使ったことで、やはりラストは完全に脚が
止まってしまった。
前半がゆったりと流れる展開ならまた巻き返してくるだろうが、年齢的にも
ピークは今年までだろうし、もう1つタイトルを加えるのは難しいだろう。

アサクサキングス
今回最後まで脚が持たなかったことはともかく、持ち味である勝負所での切れも
ほとんど発揮できなかったことから、道中に11秒台がいくつも並ぶような流れ
ではおそらく厳しいのだと思う。
それだけの持久力がなく、今年1年これといった成長も感じられなかった。
来年巻き返すイメージが湧かない。


☆メイショウサムソン☆
さすがに衰えは隠せなかったが、最後にもう1度サムソンらしい競馬を
見ることができて良かった。
持ち前の持続力と他のどの馬よりもラストを粘れる持久力は派手ではないが、
印象に残るものだったし、サンデーサイレンス産駒最後の世代にこの馬が
出てきたことは、切れ味のみに偏った時代の終わりを示唆しているようで、
何か意味があるような気もする。
皐月賞、ダービーの2冠に、天皇賞春秋連覇。
この成績を残せる馬はしばらく現れないだろうな…。
お疲れ様でした。



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