レース総括 |
■前半やや速く、道中が緩んで、上がりはロングスパートの形 |
■持続力が問われた |
宝塚記念結果
1 | ドリームジャーニー | 2.11.3 | 34.3 | 09-10-10-10 |
2 | サクラメガワンダー | 2.11.6 | 35.0 | 05-05-05-02 |
3 | ディープスカイ | 2.11.6 | 34.8 | 07-07-08-06 |
4 | カンパニー | 2.11.7 | 35.1 | 03-03-04-02 |
5 | スクリーンヒーロー | 2.11.8 | 35.3 | 02-02-03-02 |
6 | アルナスライン | 2.11.8 | 35.0 | 07-09-08-06 |
7/td> | マイネルキッツ | 2.12.0 | 35.2 | 09-07-07-06 |
天候:晴 芝:良
上り4F:47.3 3F:35.2
前半1000m:59.0
12.6-10.9-11.2-12.2-12.1-12.7-12.3-12.1-11.5-11.7-12.0
レース詳細
ラップタイムを見れば前半が速く、道中がやや緩んでの上がり勝負という形。
ただし馬場がある程度速い状態だったことを考えれば前半はおそらく例年並で、
道中は余計にゆったりとした展開だったと言える。
また今回のラップはコスモバルクが後続を離した逃げで刻んだものであり、
2番手以降の馬にとっては道中(特に4F~5Fあたり)がさらに遅いはずで、
上位馬の考察をする上でもう1度言い直しておくと、やや速い前半から
道中はある程度しっかり緩んで、(ラスト4F前後から逃げ馬に迫って、
ラスト3Fで一気に抜き去っていることから)上がりはロングスパート
持続力勝負という見方で良さそう。
このレースのポイントはまずは前半(最初の直線)の速さということになるが、
この段階ではまだ馬群がある程度固まった状態だったので、中団くらいの馬
までは前のスピードに引っ張られたはず。
そしてこの部分の速さが後々(仕掛けた後)に効いてきて、それらの馬の末脚を
多少鈍らせることにつながったと思われる。
ただしこの速さを受け流せるポジションに位置していた馬はこの段階ではかなり
楽ができたはず。(勝ったドリームジャーニーはまさにこちら)
次のポイントは道中が緩んだことで、もしそこが締まった展開になっていれば
ラストは(例年のような)持久力勝負となっていたはずだが、実際にはそこで
一旦息を抜ける展開となったためにそれ程高い持久力は問われずに、勝負は
完全に上がりの性能を問う形となった。
そして最後のポイントは上がりがロングスパートの形になったことで、当然の
ようにスピード持続力が問われたわけだが、ここでは上記したように各馬が
元々持っている持続力にプラスして、前半で脚を使っているということも
ラストの伸びに影響を与えた。
特に差し馬の場合、前半で中途半端に引っ張られたことで末脚が多少削られ、
道中が緩むような流れだったのにも関わらず、最後は前から進めた馬と同じ
ような上がりしか示せなくて、結果的にこのレースは先行馬の方が上位に
残りやすい形となった。
(もちろんそれらの馬の持続力(乳酸耐性)が優れていることも大きいが…)
そのような流れの中、勝ったドリームジャーニーはロングスパート勝負で
前の馬も止まらない展開を一気に交わして突き抜けた形で、その末脚の
切れ&持続力は相当なものだと言える。
ただし前半の速さに対してはほとんど蚊帳の外という状態だったために
他の馬に比べれば幾分展開的に有利な部分があったことは否めない。
また道中がこれだけ緩む展開で、持久力の面ではそれほど厳しいものが
問われなかったこと考えると、レースレベル自体に関しては少し疑問を
持たざるを得なくて、この結果がそのまま各馬の地力を反映しているとは
現段階では言い切れないところがある。
余談だが、今回の結果だけを見ると今までG1では善戦までというベテランに
対して新たな王者になるはずの馬が跳ね返された形で、その敗因の中にどんな
理由があったにせよ、なかなか嘆かわしい未来が待っていそうな気がする…。
(現4歳世代が下の世代の突き上げに耐えられるか非常に心配)
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
ドリームジャーニー
前半~道中は無理をせずに持ち前の末の持続力を活かせるベストな展開。
とにかくこの馬は道中で脚を使わないことが条件なので、その点がほとんど
問われなかった今回は展開に恵まれたことは否めない。
ただし前半を少しは前のポジションから進められるようになり、馬体面や
実際に近走の成績が充実しているところからも、おそらく持久力の面での
パワーアップは間違いなく、速い道中への対応という点ではまだまだ信頼
できないが、(本当は今回そこが見たかったのだが…)
今年の秋は昨年とは違った結果を期待していいのかもしれない。
サクラメガワンダー
元々前半の速さへの対応は問題ないし、ラストもそれほど止まる馬でもなく、
懸念されたのは道中の追走(持久力)だけだった。
そして今回道中が緩む展開だったためにその問題もあっさりクリアして
この馬にとってはベストレースと言っていいだろう。
鞍上も早め先頭というこの馬の持続力が活きるベストの騎乗だったので
これで負けるなら仕方がない。
ただしこれで持久力の問題が解決した訳ではないので、さすがにもっと道中が
厳しくなる天皇賞など、秋の活躍が約束された…とまではいかない。
ディープスカイ
状態面に問題があったようにも言われているみたいだが、戦前は絶好調的な
扱いだったのだから今更敗因をそのあたりに求める気にはならない。
今回の場合確信は出来ないが、おそらく速い前半に引っ張られたことによって
ラストの脚が多少削られたという上記したような理由によるものか、前走で
マイルの流れに適応しすぎたことが、今回も速い前半に触発される形で道中の
力んだ(マイルのような)走りにつながり、ギアチェンジが思うようにいかな
かったのか、どちらにしても1番の原因は最初の直線にあるように思う。
(特に後者の方は、昨年マイルで覚醒したウオッカが秋のジャパンCでは
道中が楽な展開なのに持ち前の切れが発揮できなかったという前例もある)
今回の結果は、サクラメガワンダーを差せなかった事実はなかなか衝撃的で
あったし、持久力に対する懸念も正直否定できないのだが、それでも道中が
より厳しくなった場合に浮上するというような、地力の高さではこの馬が
1番だという考えを覆すほどの内容ではなかった。
したがって次戦以降では当然のように巻き返してくるだろうし、個人的にも
それを期待したい。
結局この敗戦によって凱旋門賞は辞退するらしいが、細かい結果は気にせずに
次々に挑戦することでいつかは実を結ぶと思うし、少し残念な選択だった。
むしろ日本のスピード競馬でこういった勝ち切れないくらいの馬の方が案外
結果を出しやすそうな気さえするが…。
カンパニー
この馬がこの着順に残っている時点で、このレースではそれほど持久力が
問われなかったという証明。
道中が緩んでそこさえクリアできれば、元々持続力はこのメンバー屈指の
ものを持っているのだからこのくらいは出来て当然。
この先もやはり(もう少し短いところの)持続力勝負で狙いたい馬だが、
そもそも今のところ衰えそうな気配がないこと自体が凄い…。
スクリーンヒーロー
末の持続力に関しては既に証明済みだったが、今回は今までにないくらいの
速さで前半を進めている点で個人的なイメージではさらに能力を更新した印象。
この馬の場合、今までのパフォーマンスからも持続力に関しては一流だが、
前2走で結局長距離に対応できなかったことからもやはり問題は持久力にあり、
道中が本当に厳しいレースの経験が少ないという現状から、あとはどの程度
までなら道中の速さに対応できるのか?という点を見極める必要がある。
それ次第では秋のG1でも活躍を期待していい。
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