レース総括 |
■前半~道中が速く、上がりはロングスパートの形 |
■相当な持久力が問われた |
菊花賞結果
1 | スリーロールス | 3.03.5 | 35.2 | 03-03-05-04 |
2 | フォゲッタブル | 3.03.5 | 35.0 | 09-07-09-07 |
3 | セイウンワンダー | 3.03.7 | 35.2 | 07-07-09-07 |
4 | イコピコ | 3.03.9 | 34.8 | 16-16-16-16 |
5 | リーチザクラウン | 3.03.9 | 36.2 | 01-01-01-01 |
6 | ヤマニンウイスカー | 3.04.3 | 36.3 | 03-03-02-02 |
7 | セイクリッドバレー | 3.04.3 | 35.6 | 10-10-13-10 |
8 | シェーンヴァルト | 3.04.5 | 36.5 | 05-05-03-02 |
天候:晴 芝:良
上り4F:47.5 3F:35.8
3F毎ラップ:36.1-35.9-37.7-38.0-35.8
12.9-11.5-11.7-11.9-11.9-12.1-12.6-12.6-12.5-13.4-12.9-11.7-11.4-12.2-12.2
レース詳細
ラップタイムを見れば、前半~道中はリーチザクラウンが引っ張ったことで
例年と比べてもかなり速くなり、その後3コーナー手前で少し緩んでからは
坂の下りで一気に加速して、上がりはロングスパートという形。
今回の特徴はやはり道中の速さで、特に例年ほぼ確実に緩む1~2コーナー、
3F刻みのラップで言えば7F~9Fの部分のスピードが過去10年でも最速を記録
していて、その後一旦緩んでいるとは言え、道中の厳しさは近年最高レベルの
水準だった。(もちろん速い馬場だったこともあるが)
したがってこの展開では当然のように心肺機能の高さが物を言い、上位陣、
特にある程度好位から進めて好走した馬の持久力については、(既に道中
だけなら天皇賞に近いくらいのレベルで走っているのだから)今後に向けて
十分な裏付けが取れたと考えてもいいだろう。
ただし今回の内容に1つだけケチをつけるとしたら、上がりのスピードが
それほど問われなかったという点。
例えば天皇賞であれば今回と同じ程度の道中から(絶対的な)速いスピードと
その持続力に由来する、上がりそのものの性能が問われる訳で、(前半で
無理をしたリーチザクラウンはともかく)上位陣の中でも決め手という部分で
後々足りなくなる馬もいるかも知れない。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
スリーロールス
この馬に関しては、決め手という部分では元々十分な裏付けがあって、今回は
道中を耐え切れるかどうかというのが問題だった。
その結果、厳しい流れを好位から押し切った内容は強いの一言で、持久力の
点でも十分な裏付けが取れたからには、この先少なくとも長距離界では中心的な
存在になることは間違いない。
(ラスト1Fを12秒台前半でまとめているのも大きな価値がある)
フォゲッタブル
持久力に関してはもはや何の疑いもない。
ただしこの馬の場合はどうしても決め手(持続力というよりも絶対的な
スピード)という点で課題が残り、例えばもう少し道中が緩い流れのレースで
どの程度の脚が使えるのかを見極める必要がありそう。
セイウンワンダー
この馬に関しては(個人的に)イメージを一新しておかなければならない。
今までの感覚だと、この父親の産駒にしては珍しく切れとスピードがあって、
皐月賞の好走からも持続力(筋持久力)に優れ、ダービーでは結局最後まで
伸びてこなかったことから持久力(心肺機能)には難がある…という
イメージだった。
しかし前走の神戸新聞杯で極端に緩いとは言えない流れを好位から進めて
3着に粘り、そして今回の舞台でも例年以上に持久力が問われる流れを
好走したことを考えれば、春の時点から比べて、持久力面での強化が
あったことは間違いない。
そうなると高い持久力をベースに、多少の切れと確かな持続力が上乗せされた
イメージの、しっかりグラスワンダー産駒らしい型に落ち着いた印象がある。
当然、適性的に合いそうな有馬記念、(スピードが足りれば)安田記念、
宝塚記念でのパフォーマンスには注目しておきたい。
イコピコ
4角10番手以下から掲示板に届いたのは結局この馬だけなので、当然一定の
実力は認められるが、他の上位陣とは違って、後方待機から完全に直線勝負に
徹した内容では1つ価値が落ちる。
したがって持久力の点でもまだ信用し切れないし、かと言って中距離戦の
道中が厳しい流れを耐えられるタイプにも思えず、G1戦線で普通に活躍して
いける馬とは現時点では正直思えない。
(そもそも大物感を全く感じないのは自分だけだろうか…)
リーチザクラウン
レース後の鞍上のコメントは、折り合いを重視して行かせたという趣旨だったと
思うが、つまり最初から大逃げを考えていた訳ではなかったということで、
今回の敗因はそのあたりの戦略的な甘さにもあったように感じる。
(前半の中途半端な逃げから、道中の本来脚を溜めるべきところで脚を使って、
結果的に息を抜ける瞬間が少なくなったという印象)
それでもその内容で掲示板まで残したのは、逆にこの馬の持久力の高さの証明に
なっていて、この先の長距離戦での巻き返しは当然期待できる。
ただし予想の段階でも書いたように、(仮に道中が上手く行ったとしても)
今のところラスト1Fが持続できる馬ではないので、例えばいずれは天皇賞を
勝てる…などとは決して言い切れない。
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