レース総括 |
■前半やや速く、道中が緩んで、ロングスパートの形(後続にとっては) |
■一定の持久力と末脚の持続力が問われた |
京都大賞典結果
1 | オウケンブルースリ | 2.24.3 | 34.1 | 10-11-12-13 |
2 | スマートギア | 2.24.4 | 33.8 | 14-14-14-14 |
3 | トーセンキャプテン | 2.24.7 | 34.8 | 06-06-06-07 |
4 | ジャガーメイル | 2.24.7 | 34.8 | 09-09-08-09 |
5 | モンテクリスエス | 2.24.9 | 35.1 | 07-07-08-07 |
天候:晴 芝:良
上り4F:49.0 3F:37.1
前半1000m:59.1
12.7-10.9-11.0-12.2-12.3-12.1-12.1-12.0-11.9-12.3-12.8-12.0
レース詳細
とりあえずレースのラップタイムは、前半速く、道中もほとんど緩むことなく、
終いの時計が掛かる形。
このラップこそ、敢えて引退を延ばして未だに走っているテイエムプリキュアの
存在意義ではあるが、これだけ後続に無視されると扱いづらい…の一言。
それでも何とか理解を試みると、まず前半はほとんど前が暴走しただけだが、
後続も当然(特に中盤以降は)引っ張られているはず。
問題は各馬がどの程度このペースに付き合ったかということで、それによって
今回のレースにおけるパフォーマンスの価値が決まる。
そこで、現時点では各馬がどの程度の速さで道中を進めていたかという詳細な
データが分からないので、とりあえずラスト3Fの通過タイムとその地点での
先頭との差を把握しておくと、
ラスト3F通過タイムと前との差
テイエムプリキュア | 1.47.2 | … |
オウケンブルースリ | 1.50.2 | +3.0 |
スマートギア | 1.50.6 | +3.4 |
トーセンキャプテン | 1.49.9 | +2.7 |
ジャガーメイル | 1.49.9 | +2.7 |
モンテクリスエス | 1.49.8 | +2.6 |
参考:過去10年のラスト3F通過タイム
2008年 1.52.4
2007年 1.50.8
2006年 1.58.2
2005年 1.51.2
2004年 1.50.9
2003年 1.52.6
2002年 1.49.3
2001年 1.50.9
2000年 1.51.3
1999年 1.49.8
まずは単純なところから、ラスト3Fの通過タイムはやはり後続もハイペースに
引っ張られていて、最後方のスマートギアでも過去10年の内で8回はハナを
切っていることになるタイムを示している。
したがってこれだけでも例年に比べれば信頼度の高いレースだと言えるが、
絶対的なスピードで考えれば、1F毎の各馬の平均ラップが12.2~12.3秒なので
(馬場差も考慮すれば)G2としてはそこまで威張れるような道中でもない。
一方でこの地点での前との差を見ると、掲示板に載った馬の中で最も好位に
つけていたトーセンキャプテンでもラスト3Fの段階では前とはかなりの差が
あって、実際にレース映像を見ても各馬が本当に動き出しているのは坂下
(または下る途中)からに見える。
したがって後続が差を詰めたのはそこからで、それ以前(3コーナー手前)では
それ程目立った動きはなく、レースラップに近いペースだったと考えられる。
データ的に言えそうなのはここまでで、あとはレース映像からの推測になるが、
まず前半3Fの時点ではそこまで大きな差は開いてなくて、スタート直後は
後続もある程度脚を使わされる流れだった。
その後1コーナー付近から向こう正面半ばの間でかなりの差がつき、残り
1200~1000mでは落ち着いているように見えるので、おそらく4F~6Fの間は
後続のペースはかなり緩んでいる。
以上のことからレースラップと照らし合わせて後続の刻んだラップを考えると、
前半はやや速く、道中(1コーナー~向こう正面半ば)は一旦緩んで、その後
3コーナー手前からややペースアップして、ラスト4Fからはロングスパート
気味の上がり勝負といったところ。
したがってここで問われたのは並のG2~G3レベルの持久力と、末脚の
持続力だったと言えて、レース後半でかなり長い脚が必要だったために
脚質的にも(スタート直後に無理をしてない)後ろの馬が有利だった。
とにかく今年はテイエムプリキュアの存在によって展開が乱されつつも、
レースとしては見応えがあったし、この展開で斤量を背負って勝ちきった
オウケンブルースリのパフォーマンスは高く、例年異常なスローペースで
G2の格が全く感じられないレースになりつつあった京都大賞典が、普通の
G2に戻ったという感覚でいいのではないだろうか。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
オウケンブルースリ
展開自体は向いてはいたが、59kgを背負って勝負所では積極的に動いて
いたので十分評価できる内容。
とにかく末の持続力と上がりそのものの破壊力は健在で、持久力の点では
信頼し切れない部分があって距離が伸びたら分からないが、少なくとも
このくらいの距離であれば、この先もG1馬としての格を考慮した扱いで
良さそう。
とりあえずJC、有馬に関しては勝てるかどうかはともかく、確実に好走は
してきそうなイメージ。
スマートギア
展開が嵌った感もあるにはあるが、この距離で前に引っ張られた展開なので
一定の評価は出来る。
ただし斤量を背負って積極的に動いたオウケンブルースリとの比較では
今のところ逆転の要素が見えない。
トーセンキャプテン
レース後半で長い脚が必要となり、極端なスピード勝負にならなかったことが
功を奏したと考えられる。
地力もある程度高く、持続力もある馬だが、この先G1などのスピードが
問われる舞台で同じ結果が得られるとは到底思えない。
ジャガーメイル
直接的な敗因は前半の位置取りといったところだが、本質的にステイヤー的な
要素が強く、ここまで中距離的な資質が問われる流れになると、心肺機能的な
面は大丈夫でも、筋肉に対する負荷に耐え切れないのかも知れない。
そう考えると、この先のG1で期待できるとしたらスローに流れた場合のJC
くらいで(出れるかどうかはともかく)、道中から激しくやり合う肉弾戦では
割引いておく必要がありそう。(特に有馬記念)
モンテクリスエス
ダイヤモンドS勝ちからステイヤー的な見方をされて、天皇賞でも人気して
いた訳だが、個人的にはこの馬の持久力に疑問を持っていて、これ以上の
距離でスタミナ勝負をするよりも、持ち前の筋力が活きるこのくらいの距離の
方がおそらく本質的には合っている。
それでも速い脚が使えないために、この舞台では今回の結果が限界だったが、
この先、上がりが速くなりにくい中山あたりならもう少しやれてもいい。
0 件のコメント:
コメントを投稿