レース総括 |
■前半~道中が緩く、極端に上がりの速い形 |
■切れ&持続力勝負 |
天皇賞結果
1 | カンパニー | 1.57.2 | 32.9 | 09-09-09 |
3 | スクリーンヒーロー | 1.57.5 | 33.6 | 02-04-04 |
2 | ウオッカ | 1.57.5 | 32.9 | 13-14-14 |
4 | オウケンブルースリ | 1.58.0 | 33.6 | 12-12-11 |
5 | シンゲン | 1.58.0 | 33.7 | 09-09-09 |
6 | ドリームジャーニー | 1.58.0 | 33.4 | 17-15-14 |
7 | ヤマニンキングリー | 1.58.2 | 34.2 | 06-06-06 |
8 | エアシェイディ | 1.58.2 | 33.8 | 13-12-11 |
天候:晴 芝:良
上り4F:45.4 3F:33.7
前半1000m:59.8
13.0-11.2-11.4-12.0-12.2-12.0-11.7-10.8-11.3-11.6
レース詳細
ラップタイムを見れば、一見前半~道中が例年の平均に近い水準から上がりが
相当に速いという形だが、馬場差まで考慮すれば上がりの極端な速さという点は
同じでも、前半~道中はかなりゆったりした流れだったと考えて良さそう。
この程度の道中では、ここに出てくるレベルの馬達にとっては相当に楽な追走に
なったはずで、大半の馬が勝負所まで十分に余力を残せている状態だったと
考えられる。
そうなるといくらスローからの上がり勝負でも、単純に先行馬有利とはならず、
脚質以上に上がりの性能そのものが問われて、どこまで突き抜けられるかと
いった決め脚の最高点(トップギア)の高さで勝敗が決まったと言える。
(その結果、本来この舞台で台頭してくるような地の強さで差してくるタイプの
馬には厳しくなってしまった)
したがって今回のレースでは、予想の段階で書いたような総合力という部分は
ほとんど測られることがなく、現代のスピード競馬における最強馬を決めると
いった観点からは、好走した馬でも例年の天皇賞好走馬と同等の価値があるとは
言い切れない。
(もちろん決め手があるということも"強さ"の1つではあるが…)
それでも唯一の救いは、ゆったりとした道中からの決め手勝負ということで、
(距離は長くなるものの)同じような展開になりやすいジャパンCへの適性は
測られた感があって、とりあえず上位陣は距離適性(持久力)の裏付けさえ
あればJCでも期待して良さそう。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
カンパニー
決め手自体はさすがだが、今回はほぼ毎日王冠の内容を踏襲したようなもの。
天皇賞馬としての価値は疑問だが、元々実績も持っている馬なので、この先
適性の合うマイルCSに行くのであれば、この状態なら普通に勝ち負けに
絡んでくるだろう。
スクリーンヒーロー
ロングスパート気味の上がりの持続力勝負と捉えれば、それはもうほとんど
昨年のJCと同じパターンであって、ここで好走しても十分頷ける。
(持久力には多少問題があるので)とにかく道中をゆったりと進められさえ
すれば、持続力に裏付けされた上がりの性能の高さを発揮できるので、近年は
ほぼゆったりと流れる傾向になってきたJCでは、今年も最有力候補と考えて
おいて良さそう。
ウオッカ
自身最速の上がりを使っても差せなかったのだから、直接的な敗因はやはり
位置取りが後ろ過ぎたということでいいだろう。
(この馬の適性を考えた場合、控えることを選択した鞍上は疑問だが…)
しかし今回の根本的な問題は位置取りというよりもやはり展開にあって、
もし仮にもう少し前のポジションからレースを進めていたとしても、
勝てた可能性はおそらく低い。
今までの履歴から考えても、この馬は元々ペースが速かろうと遅かろうと、
ラスト1Fはほぼ確実に鈍るので、他の馬も止まらないような展開ではこれ
までにも度々足元をすくわれていて、逆に他の馬が止まるような道中の
厳しい展開において、本来の地力の高さを活かして結果を出してきた。
そして今回の場合、その特性を発揮するにはほとんど大逃げするくらいしか
選択肢がなく、(さすがにそれは非現実的なので)結局中途半端に先行して
いれば、相手が上がり32.9秒の最後まで止まらない脚を使っている以上、
最後は毎日王冠の二の舞になっていたのではないだろうか。
この先JCに行っても同じ問題が繰り返されるだろうし、それに加えて
持久力の面での問題も出てくるので、勝ち負けまで考えたら少し分が悪い。
それならば個人的にマイルCSに出てみて欲しいのだが…。
オウケンブルースリ
個人的に最も確認したかった(中距離的な)道中の速さへの対応という点では
うやむやになってしまったが、この馬自身はこれまでで最速の上がりを記録
していて、決め手という部分では更新してきたという内容。
とりあえずここでこのくらい出来れば、JCの流れが速くても遅くても崩れる
ようなイメージはなく、緩い流れだと前を捕らえ切れないというパターンも
考えられるものの、順当に行けば勝ち負けに絡んで当然という印象。
シンゲン
元々上がりだけではなく、道中からの厳しい流れでこそ力を発揮できるタイプな
だけに、この展開ではさすがに厳しくなってしまった。
それでもしっかり掲示板を確保しているあたりは、初G1でもしっかり実力は
示した形で、当然巻き返しは期待出来る。
…と思ったところで骨折とは不運極まりない。
回復を祈りつつ、気長に待ちたい。
ドリームジャーニー
本来の天皇賞のスピード勝負では筋持久力という点で続かずに厳しくなると
思われた馬だが、この流れなら追走自体が楽になるので、さすがに上位には
顔を出した形。
それでもこのくらい脚を溜められたら、もう少し突き抜けるような上がりを
使えていても良かった気がしないでもない。
(メディア等で右回り、左回りの問題を指摘されている馬の多く[一部]は
実際には単純に適性面での問題…というケースもあるが)この馬の場合は、
池添Jも「左回りでは寄れて、それを修正しながら追っている」と指摘して
いるように、本当に上手く走れていないのかも知れない。
そうなると距離延長で本来はこの馬の心肺機能の高さが活きるはずのJCでも
やはり難しくなってしまいそうだが…。
ヤマニンキングリー
基本的に上がりには限界がある馬なので、前走に引き続きここは切れ負けと
考えて良さそう。
当然巻き返しを期待したいところだが、この先のG1では適性的に微妙なので、
また小回りの王者というところに落ち着きそうなイメージは否めない。
エアシェイディ
元々地の強さで差してくるタイプなので、この緩い展開で大外を回して
という内容ではさすがに厳しい。
馬体的にもまだまだ元気そうなので適鞍を待ちたいところ。
エイシンデピュティ
さすがにまだピーク時の出来ではないと思うが、それでも内容的には
前走と比較してもかなり復調の気配が漂う。
元々切れ味勝負(極端な上がり勝負)が得意というタイプではなく、前半~
道中である程度引っ張ってから、多少の切れと持続力で粘り込むという馬
なので、さすがにJCというイメージではないが、有馬記念あたりでは
そろそろ注意すべき存在になるかも知れない。
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