2009年12月2日水曜日

ジャパンC回顧 2009


レース総括
■前半やや速く、道中は締まった流れ、そこから上がりは更に加速する展開
■持久力&持続力&切れ、全てが問われた最高レベルのレース


ジャパンC結果
ウオッカ2.22.4 34.8 04-03-04-05
オウケンブルースリ2.22.4 34.1 16-16-15-17
レッドディザイア2.22.6 34.7 09-10-11-11
コンデュイット2.22.8 35.0 13-13-11-09
エアシェイディ2.23.0 35.0 13-13-15-13
エイシンデピュティ2.23.1 35.7 03-03-02-02
ジャストアズウェル2.23.2 35.2 09-10-11-13
マイネルキッツ2.23.2 34.9 18-17-18-17
リーチザクラウン2.23.4 36.1 02-01-01-01

天候:曇 芝:良
上り4F:47.1 3F:35.1
前半1000m:59.0
12.7-10.5-12.0-12.0-11.8-12.2-12.1-12.0-12.0-11.4-11.4-12.3




レース詳細
ラップタイムを見ると、前半がやや速くなり、道中は一定の速いペースを
保ち続ける淀みのない展開、勝負所で加速した後、ラスト1Fだけ落ちる形。

馬場が相当に速い状態だったということもあるが、今年の場合は展開的には
近年のスローペース戦とは一線を画しているのは間違いなく、道中での持久力と
スピード持続力、そこからの究極的なレベルでの切れ味、どれをとっても
国際G1として相応しい"格"が物を言ったレースだった。

この展開であれば当然今回の上位陣に関しては、しっかり地力の高い馬が占めた
結果となり、名実ともに今年度ナンバーワンレース、それを勝ったウオッカの
年度代表馬は間違いない。
とにかく最近のG1戦線での何とも言えないモヤモヤ感は払拭された。

これだけの展開なので、脚質的にはさすがに差し馬が有利となったが、それを
考えると、好位から押し切ったウオッカの価値が相当に際立ったものになる。

当然今回の上位馬に関しては、この先の活躍はかなり期待して良くて、まずは
近いところで言えば有馬記念でも、条件によって少し順を入れ替える必要はある
ものの、そのまま中心になることは間違いない。


各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察

ウオッカ
強かった…それだけでいいくらいだが。
道中の全く無駄のない動きによって、無駄な脚を使うこともなく、これだけ
道中が上手くいけば、個人的に懸念していた持久力に関しても、例えこの距離
であっても全く問題ないということだろう。

となれば、そのイメージは(個人的には)完全な原点回帰
・厳しい流れでも究極的な切れが使える馬(←地力の高さ)
・終いの脚は限定的
 ⇒他の馬も止まらないスローよりも、最後に他の馬が鈍るハイペース向き
勝負所での加速は多少鈍るが、2400mでもこのままの捉え方でよかった模様。

今回は結果的には際どい戦いにはなったが、パフォーマンス的には他を圧倒する
くらいの内容で、この馬のベストパフォーマンスと言ってもいいくらい。
ダイワスカーレットとの比較ではどうしても下に見られがちな同馬ではあるが、
今回の内容である程度払拭できたのではないか。
今後の動向がどうなるのかは分からないが、例え引退となっても全く悔いは
残らないくらいの本当に素晴らしいパフォーマンスだった。

オウケンブルースリ
展開的には恵まれたところはあるが、それでも直線では1頭だけ違う脚で
ハナ差まで迫っているあたり、やはり相当な力量の持ち主。
有馬記念でも地力の高さで当然上位に浮上してくるだろうが、舞台が立ち回りの
上手さが求められる小回りコースなだけに、この不器用な馬がどの程度対応
出来るのかが問題。
極端なハイペースにでもならない限り、現時点ではなかなか勝ち切るまでは
難しく感じてしまう。

レッドディザイア
前半~道中でしっかり控えるという内容ではあったが、これだけの展開なので
地力の高さに関しては疑いようもない。
決め手や息の入らない流れへの耐性など、中距離的な能力に関しては今のところ
ケチをつける部分が見当たらず、牡馬を含めても、この先世代の中心を形成して
いく存在であることは間違いない。

コンデュイット
強行日程でさすがにベストな状態ではなかったのだろうが、それでも全く崩れて
いないところから、やはり相当に地力の高い馬。
勝負所でもかなり早めに動き出して、それでも最後まで伸びてきていることから
その持続力の高さを窺えるし、ここに照準を合わせていたとすればもっと際どい
争いをしていたはず。
ただし瞬間的な速さまでは感じなかったので、種牡馬としてはやはり母系から
どれだけ切れ味を引き出せるか…といったところだろう。

エアシェイディ
厳しい展開になったことで、持ち前の地の強さで浮上した形。
この結果自体は全く不思議でなく、本当に強い馬だと思うのだが、あと1つ
決め手(切れ)に欠ける部分だけはどうしようもない。
それさえ持ち合わせて生まれてきていたら、G1を1つくらいは獲れていても
いいはずの存在なのだが…。
有馬記念でも同じようなパフォーマンスは当然期待できるが、おそらく同じ
理由であと1歩足りない結果に終わりそうな気配。

エイシンデピュティ
厳しい流れの中、好位からリーチザクラウンを早めに捕らえに行った内容で、
さすがに直線では切れ味と、位置取りによる余力の差が出た形となったが、
それでも最後まで良く粘っているところはかなり評価できる。
適性的な面で、今までこのブログでも有馬有馬と書いてきたが、それがかなり
現実味を帯びてきた雰囲気。

マイネルキッツ
前半はどうしてもゆったりとしてしまい、上がりにも限界がある馬だけに
さすがにここの流れは合わないものだったが、それでも地力の高さだけで
少し浮上してきた…という内容。
中山2500mは日経賞でも好走しているように本質的には合っている舞台で、
今回よりかは確実に前進できるはず。
それでも有馬記念ではある程度スピードが問われるので、勝ち負けに近い
ところまではなかなか難しいかもしれない。

リーチザクラウン
予想よりも少し速いペースだったが、持ち前の持久力と勝負所での切れ味
という自身の形はしっかり出せていた。
それでもこの先のG1で勝ち負けをするには、決め手などの中距離的な要素を
磨くことがどうしても必要で、今現在の良さを保ったままそれが出来るのか
ということも含めて、今後陣営がどのように仕上げていくのか注目したい。


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