レース総括 |
■前半は少し速め、一旦落ち着いてから、事実上のロングスパート合戦 |
■スピード持続力が問われた |
ジャパンCダート結果
1 | エスポワールシチー | 1.49.9 | 37.1 | 01-01-01-01 |
2 | シルクメビウス | 1.50.5 | 36.9 | 13-13-11-11 |
3 | ゴールデンチケット | 1.50.7 | 36.9 | 10-10-11-13 |
4 | サクセスブロッケン | 1.50.7 | 37.6 | 03-03-03-02 |
5 | アドマイヤスバル | 1.50.7 | 37.3 | 05-04-07-08 |
6 | ワンダーアキュート | 1.51.1 | 37.9 | 05-06-03-04 |
7 | メイショウトウコン | 1.51.1 | 37.2 | 15-15-14-11 |
8 | ヴァーミリアン | 1.51.1 | 37.6 | 07-07-08-08 |
9 | マコトスパルビエロ | 1.51.1 | 38.1 | 08-09-02-02 |
天候:晴 芝:良
上り4F:49.2 3F:37.1
前半1000m:60.7
12.5-11.1-12.7-12.5-11.9-12.1-12.4-11.8-12.9
レース詳細
ラップタイムを見れば、前半が昨年に比べると少し速くなり、2コーナー周辺で
一旦流れが落ち着いてから、向こう正面~3コーナーに掛けてスピードアップ、
3~4コーナー中間で再度流れを落ち着かせつつ、4コーナーで一気に加速して
最後だけ少し落ちる形。
今回はエスポワールシチーの逃げ切りという結果に終わったので、これは完全に
勝ち馬の刻んだラップということになるが、これを見ると昨年の有馬記念での
ダイワスカーレットを彷彿させる見事なレースマネージメントだったと言える。
(マコトスパルビエロが絡んだことも大きいが…)
2008年・有馬記念ラップタイム
6.9-11.2-11.9-11.2-11.9-13.0-13.2-12.4-11.5-11.9-12.0-11.7-12.7
つまり向こう正面で一旦突き放すことで後続に対して追いかけなければならない
状況を作り出し、3~4コーナーで脚を使わせておいて、その一方で自身は
その部分で楽をして後ろを十分に引きつけてから、再度突き放す…という形。
もちろんこれは相当な力量の持ち主でなければ出来ない芸当だが、脚の使い所
という観点からは、後続の馬が普通よりも一歩手前で(作り出された)勝負所を
迎えてしまい、早い仕掛けによって直線では伸び悩んだという側面もありそう。
(逆にその部分をある程度受け流し、仕掛けを一歩遅らせた馬が2、3着という
結果もその裏付けとなっている)
したがって今回、勝ち馬の力はもちろん認める必要があるが、それを追いかけた
形で最後が厳しくなった馬を見限るのは早計だと言えて、その巻き返しには十分
注意しておきたいところ。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
エスポワールシチー
他の馬との比較はともかく、この馬自身の内容を見ればこの1年での成長は
明らかで、特にスピード持続力に関しては、その水準も使える長さも格段に
レベルアップしている。
この先ドバイを目指すにしても、ヴァーミリアンのような溜め→切れを
活かしたいタイプよりかは確実に適性は合いそうで、その活躍に期待したい。
(AWへの適性は分からないが…)
シルクメビウス
前半での溜め、道中でのやや押し上げる動き、上がりでの脚の持続
…どれをとっても前走で刻んだラップを踏襲するような内容で、動くべき
場所と抑えるべき場所をしっかり分かった上で、それを見事に再現した鞍上の
素晴らしい騎乗だった。
とにかくタイプ的にはこの舞台は相当に合っていて、順調に成長してラストの
破壊力が増せば、来年は勝ち負けまで届いても不思議ではない。
ただしフェブラリーSに関しては、こことは違って前半が相当に速い流れから
終いでの持久力&持続力争いになりやすく、どこかしらで溜めが必要なこの馬の
場合、流れについて行こうとすれば脚が削られ、受け流そうとすれば位置取りが
悪くなる…ということになりそうで、タイプ的には少し割り引きたい感覚。
ゴールデンチケット
道中は直線に入るギリギリまでじっくりと溜めて、最後にバテてきた馬を
交わしたという形。
切れと持久力に関してはある程度認めている馬ではあるが、勝負所での争いを
避けた内容では、さすがに周りと同様の評価というわけにはいかない。
道中の緩くなる展開ではともかく、厳しい流れではまだまだ疑って掛かりたい。
サクセスブロッケン
最後に差されたのが前半でしっかり控えた馬だけなので、地力の高さは十分に
示した形だが、勝ち馬に対しては完敗の内容。
それでも個人的にはまだ、力を発揮する部分が(気性的な問題はあるにせよ)
前半に偏り過ぎているように思えて、レースを通して一定のスピードを刻み、
尚且つ終いの脚を残すためには、もう少し控えるという選択が必要な気がする。
少なくとも、エスポワールシチーの得意な形に真っ向からつき合っていては
逆転するのは相当に難しいはず…。
ワンダーアキュート
終始外々を回らされるはめになり、元々終いでのスピードを活かすタイプでは
ないだけに、積極的に攻めてのこの着順はむしろ評価出来る。
タイプ的にはここよりかは明らかにフェブラリーS向きだし、トップレベルを
経験したことで更なる成長を示せれば、巻き返しは必至だろう。
(もちろんエスポワールシチーの牙城は相当高いだろうが…)
ヴァーミリアン
勝負所で多少ゴチャついて苦しい形になってしまったが、そうなったのも
そもそもが持ち味である切れが消されていたからだとも言えて、結局は前半~
道中のスピードに対応し切れなかったというのが敗因のよう。
タイプ的にレースを通して持続する形が合うとは思わないが、結果を出して
いた時はその形でも十分にやれていただけに、やはり衰えはあるのだろう。
この先、道中で緩められる交流G1は切れと地力の高さでこなせても、速い馬が
道中もしっかり引っ張る展開では、さすがにもう復権は難しく感じる…。
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