レース総括 |
■ゆったりした流れからの、極端な早仕掛けレース |
■加速への対応力&終いの持久力が問われた |
ジャパンC結果
1 | ブエナビスタ | 2.24.2 | 33.9 | 06-06-09-06 |
2 | トーセンジョーダン | 2.24.2 | 34.3 | 02-02-02-03 |
3 | ジャガーメイル | 2.24.5 | 34.0 | 09-08-12-09 |
4 | トレイルブレイザー | 2.24.6 | 34.6 | 03-03-04-04 |
5 | ウインバリアシオン | 2.24.7 | 35.0 | 13-15-02-02 |
6 | デインドリーム | 2.24.7 | 34.0 | 13-11-12-13 |
天候:晴 芝:良
上り4F:45.7 3F:34.5
前半1000m:61.8
13.0-11.7-12.4-12.5-12.2-12.3-12.5-11.9-11.2-11.0-11.5-12.0
レース詳細
ラップタイムを見ると、前半かなりスローになり、その後も平均を下回る流れ、
残り1000mあたりで一気にレースが動いて、ラスト3Fを頂点にどんどん加速して
いく展開から、直線は完全に右肩下がりという形。
今回はなかなか解釈の難しい特殊な展開になったが、とりあえずはスローからの
決め手勝負になりそうなところを、ウインバリアシオンが捲くって、早め早めの
競馬になった…という点がポイントだったことは間違いない。
ただし同じように仕掛けの早い展開でも、ジワジワ加速して11秒台半ば~11秒台
後半を刻み続けるような、単純なロングスパート戦とは異なり、勝負所での急な
加速によって一気にエネルギーを解放する格好で、どの馬も直線半ばまでには
基本的に(速い)脚を使い切っている…というのが大きな特徴。
(イメージ的には2200mのレースで「あと1Fあれば…」みたいな「タラレバ」を
体現したようなもの)
となると、そこからゴールまでの区間は、ほとんど惰性での戦いというイメージ
になって、純粋な持久力(有酸素運動能力、心肺機能)の高さが物を言ったはず
だが、まともな決め手が使えない以上、少なくともその瞬間までには好位に位置
していなければ、浮上は難しかった雰囲気がある。
実際(4コーナーを含む)ラスト3Fの11.0秒という区間では、外を回した後続の
中には実質的に10秒台に突入してしまっている馬もおそらくいるだろうし、その
ような脚の使い方をして直線の上り坂に向えば、最後は止まって当然。
しっかり固められている印象を受けた馬場というのも手伝って、勝負所で極端な
脚を使わなくても、スムーズに前との差を詰めることが出来た…という意味で、
結果的には内を通った馬が圧倒的に有利になった。
したがって今回、好位&内からの競馬で上位を占めた馬に関しては、それぞれの
地力をしっかり認めつつ、その序列は着順通りに捉えて、逆に中~外を回す形で
最後伸び切れなかった馬に関しては、結果をそのまま信用するのではなく、それ
ぞれの脚の使い方&そこからの粘り次第では、次戦以降で見直す…ということも
十分考慮しておきたい。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
ブエナビスタ
中団の内から進めて、直線では中に持ち出すという理想的な軌道を辿った形では
あったが、最後ラップが落ちていく展開の中でしっかり浮上→差し切っていて、
十分に地力を示した格好。
とにかくこれだけの名馬が、牝馬限定G1以外では天皇賞のタイトルしか持た
ない…という状況は違和感あり過ぎなので、その意味でも1年越しの悲願達成を
素直に祝福したい感覚。
次戦有馬記念がラストランという話だが、グランプリでは4戦連続2着止まり、
(オルフェーヴルとの対戦も含め)5度目の正直というのを当然期待したい。
トーセンジョーダン
ウインバリアシオンの捲くりによって、切れ負けという目は消滅して、外の馬は
勝手に脚を失くす格好になり、前の2頭さえ交わせばいい…という恵まれた状況
だったことは事実だが、自身も絶対的な存在に対して最後まで良く粘っていて、
今回も地力の高さはしっかり発揮した形。
舞台が替わって、適性的に有馬記念での前進は期待できるし、アーネストリー&
ヴィクトワールピサ&トゥザグローリーあたりとの駆け引き、オルフェーヴル&
ブエナビスタの位置取りなど、課題は多いとは思うが、当然注目しておきたい。
ウインバリアシオン
3コーナー手前から捲くって、ラスト6F~1Fで11秒台前半~半ばを刻み続けて、
最後だけガクっと落とす…という内容。
この馬が動かした展開によって他の馬が嵌ったように、勝負所で極端に速い脚を
使わずに済んだ…という部分はあるし、結果的に好走の条件となった"直線半ば
までに好位にいること"は当然満たしているので、鞍上の積極策が功を奏した…
ということも言える。
それでも他のどの馬よりも長い脚を使いながら最後までしっかり粘っているし、
(今までにも示していた)スムーズな加速に加えて、相当な持続力を発揮した
格好で、純粋な持久力も含めて総合力の高さは十分に窺える。
先行力や小回りでのコーナリングなど、課題の多い馬ではあるが、この先順調に
成長して、地の強さを獲得できれば、父親の跡を辿るような活躍も期待できるの
かも知れない。注目しておきたい。
デインドリーム
展開的には凱旋門賞に少し近い形にはなったが、今回は大外を回る格好になり、
脚の使い所の問題で、前との差を詰める場面を逸した…というイメージ。
それでもラスト1Fの"惰性"の部分でも、自身はしっかり伸びて来ていることから
地力はやはり感じるし、何かしらしっかり引っ張る馬がいる状況で、ブエナとの
ガチ勝負が見たかった…という気はする。
ブエナビスタは残念ながらいないが、来年の参戦も是非とも期待したい。
シャレータ
早仕掛けで最後は右肩下がり…という、この馬の凱旋門賞でのパフォーマンスの
ような展開になっていることから、積極的な位置取りを取れなかったことは少し
残念だった印象。
それでも最後は一応脚を伸ばしているので、地力はもちろん高いのだと思うが、
先行力という部分で、来年以降参戦してくる欧州馬に関しても、注意しておく
必要がある…という点は肝に銘じておきたい。
これに懲りずに再度参戦を期待したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿