モーリスは香港で何をしてきたのか?
今回は、よく知らない外国馬がやって来る訳ではなく、元々知っている馬の凱旋
レースなので、それほど意味を成さないのかも知れないが、一応モーリスが勝利
した香港の2戦の価値を改めて確認しておきたい。
※以下は2F毎のラップ表記(LAP1-LAP2-LAP3-LAP4)
2016年チャンピオンズマイル・ラップタイム
24.85-23.81-23.39-22.03 48.66-45.42
2015年香港マイル・ラップタイム
24.58-23.22-23.44-22.68 47.80-46.12
過去のチャンピオンズマイルの考察から、
基本的には前半が速く、地力が問われる展開になった場合に安田記念につながる
可能性が高い。(東京の高速化で近年その傾向は薄れてきてはいるが…)
具体的には、LAP1が24秒台というのがまずは目安になっていて、そこからさらに
LAP2が22秒台だと、より信頼しやすくなる…という傾向があった。
それを踏まえてモーリスの2戦を見てみると、LAP1はどちらも24秒台になって
いるので、まずは大前提の条件はクリア。
一方でLAP2はともに平均を下回っていて、特に23.81秒のチャンピオンズマイル
だけを考えると、例年ならば(その内容を引っ提げて参戦してくるような馬は)
無視してしまう可能性すらある…。
ただし香港マイルの方は、元々厳しい展開になりがちなレースのため、平均以下
ではあっても、23.22秒というのはなかなかの水準。
実際それは、ブリッシュラックが安田記念を勝った年のチャンピオンズマイルと
かなり近い流れになっていて、単独で考えたとしても、十分につながる可能性が
あるレベル…ということが言えそう。
2006年チャンピオンズマイル 24.60-23.20-23.40-22.50 47.80-45.90
したがって、最初の質問に対する答えとしては、
チャンピオンズマイルでは「単に上がり勝負を完勝してきた」
香港マイルでは「それなりの爪跡を残してきた」
…ということになる。
もちろんこれは、杓子定規にラップを見て、自ら作った訳でもない"ペース"を
比べれば…というだけの話。
結局のところ、どちらのレースもLAP4がかなり速い形になっているため、能力を
全て出し切っているのかどうかが分からない。
わざわざ海を渡って「まだ底を見せていない」ことを確認してきた…というのが
本当の結論になるのかも知れない。
予想
仕方がないとは思うが…、あからさまに頭数が落ち着いた格好。
このような状況では、敢えて強気に引っ張ろうとする馬もいるかも知れないが、
(無視される可能性は高いし)基本的にはやはりスロー想定で良さそう。
◎モーリス
この手の(明らかに持続型と思える)馬の場合、上がり勝負で取りこぼすことが
あっても良さそうなものだが、前述のように、香港の2戦はともに上がりの速い
展開だったし、日本でもマイルCSの究極的な決め手勝負を休み明け完勝。
無理。逆らえない。
そもそもG1をさらっと4連勝する馬に逆らって得をすることは何もないはず。
当然の大人気だが、素直に推しておきたい。
○リアルスティール
ドバイターフを勝ち切った…というのはもちろん評価すべきだが、それ以上に、
中山記念のパフォーマンスは相当に高く、地力では当然上の存在。
それでもこの馬の場合、取りこぼしの多い経歴になっているように、要は最後の
最後が伸び切れない…という部分があるため、他も止まらないような状況で押し
通せるのかどうか?は微妙。
それを考えると、逆転までは結局難しいのでは…という感覚になる。
▲フィエロ
前走は、(前半こそ速いものの)道中が一旦落ち着いた展開で、開幕週という
こともあり、脚を溜めやすい最内を終始通った3頭の決着。
それを後方から進め、コーナーも大外を回す格好で差し損ねただけで、ここまで
人気を落とす理由が良く分からない。
マイルCSではきっちりとモーリスの2着に入って、決め手勝負も問題ないし、
今回は鞍上もしっかり強化されている。とりあえず巻き返す方向で考えたい。
注クラレント
昨年もここでは3着に入り、単純にこの舞台は合っているし、上がり勝負という
ことで言えば、元々ジャスタウェイとも勝負できていたような馬。
(もう随分と昔の話だが)東京新聞杯で、最後までラップが落ちない展開を勝ち
切ったパフォーマンスなどを考えても、少頭数でスロー想定ということならば、
可能性としてはまだまだ十分に出来ても良さそう。
サトノ&イスラよりも確実に上ということは当然ないが、なくもない…はず。
△サトノアラジン
マイラーという印象を(個人的には)未だに持てないでいるのだが、その意味で
今回流れが落ち着くとすれば、とりあえずこの馬にはプラスに働くはず。
実際にマイルCSで4着に入り、前走でも、上がりが究極的に速い展開を勝ち
切っている訳だし、確実に浮上はして来そう。
ただし勝ち負けということで言うと、最後がやや惰性に近い雰囲気になるタイプ
なので、ラスト100mくらいが正直信用できない…。
△イスラボニータ
大きなフットワークをする馬で、(レベルの高い)マイル戦のスピードだと本来
忙しい印象もあるが、スロー想定ならばその点は問題なくなるし、実際に決め手
勝負になったマイルCSではしっかり3着に好走している。
したがって単純な性能勝負ということであれば、やはり上位には扱っておきたい
存在だが、勝ち負けまで意識した場合、最後伸び切れるかどうか…という点で、
結局(マイラー的な)地の強さが足りない。あくまで複勝~掲示板圏内候補。
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