レース総括 |
■ゆったりとした流れから→早仕掛けの展開 |
■持続力が問われた |
スプリンターズS結果
1 | レッドファルクス | 1.07.6 | 33.0 | 11-10 |
2 | レッツゴードンキ | 1.07.6 | 33.1 | 09-07 |
3 | ワンスインナムーン | 1.07.7 | 33.8 | 01-01 |
4 | スノードラゴン | 1.07.7 | 33.0 | 12-12 |
5 | ブリザード | 1.07.8 | 33.4 | 07-07 |
6 | ビッグアーサー | 1.07.8 | 33.6 | 03-02 |
天候:曇 芝:良
上り4F:44.9 3F:33.7
前半3F:33.9
11.9-10.8-11.2-10.9-11.1-11.7
レースラップ分析
ラップタイムを見ると、前半ゆったりした入り方をして、勝負所では早めの
ペースアップをしつつ→上がりは右肩下がりの形。
今回の場合、前後半3Fが33.9-33.7というように完全に後傾の展開で、過去
最速の上がりタイムにもなっているのだが、仕掛けが早く、ラップ的に最後は
落ち込む格好(→要は脚を使い切っている)になっている。
その点で、切れよりも<粘り…という印象の方が強くて、そのことがペースの
割りには前が残れなかった要因になっていそう。
「スピードが問われない粘り勝負」
(もちろん、スローペースが7F以上に実績のある馬の決め手を引き出した
部分もあるだろうが)
また今回は4コーナー辺りが相当に速い構造で、往々にしてこの手の展開では
外から押し上げようとする馬には極端に負荷が掛かる。当然そこで相対的に
脚を使わずに済んだ…という点で、内を回ってきた馬が有利になった。
結局のところ、このレースで何が勝敗を分けたのか?ということを考えると、
「脚の使い所の問題」に尽きる。
その中で、勝負所で外目を回しつつ→最後1頭全く違う脚を使ってねじ伏せた
レッドファルクスはやはり強いし、終始好位の外を回る最も逆境の立場ながら
まずまず粘ったビッグアーサーのパフォーマンスも見逃せない。
⇒色々と新生は現れたが、実は昨年と特に変わってない…という結末。
以下は今後のスプリント界に関して。
馬場改修後、3年目にして今回で2回目の後傾レース。
それなりに流れたとしても、昨年のような前傾度の低い展開になりそうだし、
スプリンターズSはもうこの方向で行くのだろう。
個人的には、高松宮記念が基本的に持続力&切れのレースである分、こちらは
超ハイペース→コテコテの粘り勝負のままでいて欲しい…という願望があるの
だが、それはもう望めそうにない。
まあそれはそれとして受け入れるとして、今後何が問題になるか?と言うと、
(別に問題という訳でもないのだが)
この手の展開は香港馬に向く…ということ。
今回、ブリザードクラスの馬でも好走出来ることが分かり、あちらの関係者の
間で(これはなかなか癪ではあるが)大したことない…という受け取られ方を
していれば、来年以降の参戦は増えるのかも知れない。(それ自体は歓迎)
香港では、元々前半ゆったり入りつつの→持続力を競っている訳なので、その
方向性での淘汰が進んでいない今の日本に対して、本当の一線級が出走して
来るとすれば、あっさり持っていかれてもおかしくはない。
その点、しばらくは我慢の時期が続く可能性もありそう。
ただし日本にも光明はある。
その1つは、後半型スプリンターの絶対王者・ロードカナロアの存在。
自身は正直時代を先取りし過ぎていた印象だが、その産駒は適性的に新しい
スプリント界にピッタリはまっていいはず。
またロードカナロアに限らずとも、今後、持続型のスプリント戦で淘汰されて
いくことになれば、当然その中で勝ち残った遺伝子が受け継がれていく訳で、
これが、香港馬にはない、生産までしっかり整っている日本馬の強み。
(2代単位では、変化への対応力は潜在的に十分に備えている)
したがって、参戦が相次いだとしても負け続けるようなことは恐らくなくて、
長い目で見れば楽観視していいと思われる。(むしろ日本馬がその方向性で
競い合うのだとすれば、香港の方が大変になる可能性もある…)
…とまあ、一通り考えたら気楽になった。
香港スプリント親子2代制覇も、最早普通に出来る気になっている。
各馬について
出走各馬の詳細&次戦に向けての考察
レッドファルクス
脚の使い所という点では、追い出しが少し遅れたことで最後まで余力を残せた
…という部分もあるが、勝負所で負荷が掛かる外目を回しつつ→ラスト1Fを
10秒台でまとめ上げて差し切ったのだから、その持続力を認めない訳には
当然いかない。
終いを伸び切れるかどうか?という点で、マイルだと少し甘くなる雰囲気が
あるので、出来ればもう1度香港スプリントで見てみたいのだが、仮にそれが
ないのだとすると…、今後に関しては意外と適鞍が思い浮かばない。
もちろんそれは勝ち切れるかどうかの話。好走レベルではどこでも問題ない。
レッツゴードンキ
終いの脚を活かしやすい展開になり、恵まれたコース取り…という部分でも
完璧にはまった中で、それでも最後差されたというのであれば、これはもう
相手を褒めるしかない。
次戦マイルCSということになれば、さすがに半信半疑だが、以前と比べて
気性面ではマシになっていることは確か。
結果に期待する…というよりは、この手のタイプがどのように変わっていく
のか?という点で、(今後のためにも)注目したい。
ワンスインナムーン
勝負所で下手に後ろを引き付けない…という動きをしていたように見えたし、
石橋脩Jの「思い描いていた通りのレース」的な発言は、前半のマイペース
だけでなく、(終いの持続力を考慮した上での)早めのペースアップからの
粘り込みまでを含めてのことだろう。
最後差されはしたが、スピードタイプの良さを消して、結果としても自身が
粘り込める展開に持ち込んだ騎乗は、素晴らしいの一言。それに尽きる。
ブリザード
個人的に、先行力がなく、切れもない…と言って切り捨てた手前、走られて
しまった…感がもちろん強いのだが、(上がり自体は速いものの)ラストの
粘り勝負の中で、持ち前の"惰性力"を発揮した格好での浮上。
つまりはイメージそのものを覆されたというよりも、ただ単に、予想よりも
強かったということ。
繰り返しになるが、前半ゆったり入りつつ→持続力を競っているのが香港の
スプリンター。この手の展開での実力は再認識しておくべきなのだろう。
本当にこの結果は考えさせられる。
来年のこのレースでもそうだし、高松宮記念でも当然問題なっていきそう。
ビッグアーサー
香港スプリント以来の休み明けの状態で、最後ははっきり脚が上がった格好
にはなったのだが、好位&外という2つの逆境の立場ながら、コンマ2秒差に
粘り込んだことは、やはりしっかり評価しておきたいところ。
どちらかと言えば、この馬はハイペースでこそという印象ではあるので、今の
スプリントG1にピッタリはまる訳ではないが、単純に地力の部分で、今回
たくさんいたような新興勢力の前に立ち塞がる存在にはなりそう。
この先は格の番人として、弱い馬をしっかり跳ね返して頂きたい。
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