'19凱旋門賞ラップタイム
2019 87.79-24.80-13.55-12.54-13.31 2.31.99
(レース映像に表示された数字)
過去の平均ラップとの比較
※ロンシャン開催の5年との比較
※1F~7F、8F~9Fの区間は1F換算の平均
レースラップ分析&長~い雑感
ラップタイムを見て、とりあえず目立つのは前半の速さ。
平均には37秒台決着になった2012年(オルフェーヴルの1年目)も含まれては
いるのだが、好タイムの良馬場の年と比べても、7F通過は今年の方が速い。
今回も極端という訳ではないにしろ、重い馬場であったことには違いないし、
それを考えれば、相当に厳しい展開だった…とは言えそう。
レースはその後、フォルスストレート辺りで多少のペースアップはしつつも、
直線に近づく頃には展開が崩れて、もちろん、ごく一部の馬はそこからの溜め
→切れということをやっている訳だが、やはり上がりはかなり掛かった。
これだけの展開なので、相当に高い持久力がなければ話にならなかった…という
雰囲気だし(もはや適性云々以前の問題)、脚質的にも、前の馬にはさすがに
難しかった印象にはなる。
その点、エネイブルは、3連覇の偉業こそならなかったが、この流れにある程度
つき合いつつも→直線ではもう一脚を使っての粘り込み。
ラスト2Fの区間の"加速"は同馬が作ったものだし、この流れの中であそこまで
上げられる…というのは、本当に立派の一言。果てしない心肺の強さ。
差し切ったヴァルトガイストも、やはり地力があってこそ。
エネイブルが歯を食いしばるように加速して→最後の最後に垂れたところを、
(結果的に)満を持して…という内容で交わした格好なので、2頭の間での
評価は微妙だが、少なくとも他との差は明確。堂々たる勝利。素直に称えたい。
日本馬に関しては、フィエールマン&ブラストワンピースは、とりあえずは
ペースに対する位置取り…という点で、完全に逆境の立場になってしまった。
ともに内枠で好発だったことが裏目に出た雰囲気だが、平均よりも速い流れの
中での先行策というのは、ちょっと余所行きの競馬感があった…。
それらに対してキセキは、スタートが悪くて、3頭の中ではまさかの最後方
からの競馬になった訳だが、結果的にはむしろそれで正解。
この日の状況で、出来ることはやった…という内容とは言えそう。
しかし、それでも前からはとてつもなく離された格好…。
今回の場合、長距離寄りのタイプが揃って参戦した訳だが、それらに共通して
感じたことは、フットワークが大き過ぎる…ということ。見るからに疲れそう。
生中継のゲストが蛯名Jということもあって、今回は懐かしい映像もたくさん
観ることができたが、エルコンドルパサーやナカヤマフェスタの細かい脚使いを
見ると、結局それが答えでは?と思ってしまう。
(キャンターに下ろす瞬間の映像で、あぁ~と声が漏れた…)
ただ、今の日本の馬場で、その手のタイプが頭角を現すことは至難の業。
個人的にも普段、「細かい脚使い」という表現をプラス材料として書くことは
あまりない気がするし、フットワークの良さがなければ、速い馬場はなかなか
こなせるものではない。結局、競馬ファン誰もが分かっているジレンマ…。
その上で尚且つ、勝利を目指す…という、とてつもなく困難な挑戦をしている
訳だが、それでは何をすればいいのか?という問題。
日本競馬界には、海外挑戦の長い歴史の中で積み上げてきた、正解に近づいた
アプローチ&失敗したアプローチがある訳で、(それらを精査した上で)最適と
思われるアプローチで挑戦し続ける。これに尽きるのでは。
その成功しそうなアプローチとしては、長期滞在で欧州仕様に馬を作り変える。
間違いなくこれは1つの解だろう。
中継でも少し触れられていたが、今年はスピードシンボリの挑戦からちょうど
50年、エルコンドルパサーの挑戦からちょうど20年。
転戦する中で馬の走りが変わっていった…という由の記述が、前者の騎手だった
野平祐二氏の著書の中にもある訳だし、50年も前から認識されている事実。
それを実行したエルコンドルパサーの成功があり、そして奇しくも節目の今年、
ディアドラが欧州で結果を出したことは、示唆に富んでいる。
しかしこれは、オーナーに大きな負担を強いてしまう…というのが難点。
現地に日本人調教師がいたり、間違いなく昔よりも環境は整っているとは言え、
遠征費補助金が廃止された現状、特にクラブ馬の会員負担では難しい。
(ファンが参加できるクラウドファンディング的なものでもあれば…。そもそも
海外馬券の売り上げを少しでも回してくれれば…という話でもあるが)
それでは代替案。…というか、個人的にまた見たいと思っているのは、日本では
(マイル~)2000mあたりを主戦場としているような馬の挑戦。
その手の馬は、長距離馬と比べれば完歩は小さくなるのが普通だし、欧州から
輸入された種牡馬の産駒は、日本ではむしろ距離短縮方向に出ることも多い
(結局これも脚使いの細かさ由来)。だったら逆に…という発想。
エルコンドルパサーはマイルから距離延長していった馬。オルフェーヴルは当然
菊花賞は制しているが天皇賞は残念な結果に終わっている(理由はともかく)。
そしてナカヤマフェスタも菊花賞は惨敗している。
スタミナという、どこまでも曖昧な表現を敢えて使うのであれば、問われている
のは、マラソンではなくクロスカントリー的なスタミナ。
3000mを走れる必要性はたぶんない。
ダービーを勝てるような切れ(爆発力)が結局必要な舞台だし、やはり2400mを
しっかりとこなした経験は必要だろうが、その上で、本来の適性はもう少し短い
距離…という括りで考えると、現役でも(最強馬も含め)何頭かは思い当たる。
(今現在、天皇賞秋を目指している馬あたりか…)
前例で言うと、ハープスター&ジャスタウェイが一応当てはまって、それぞれ
6着&8着に敗れている訳だが、それらはぶっつけだった。正直、叩いていれば
もう少し出来たのでは?感もある。
(前者は札幌記念からなので、本当のぶっつけではない訳だが)
その手の馬が、少なくとも現地で1戦は使って、少しでも欧州に慣れた状態で
走れば…などと、無理矢理の希望を抱きつつ、また1年生きていきたい。
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